幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「な・に・が、『おめでとう』なのでしょうか~?」
「うおわああああ!」
「おや、参謀。いつからそこに」
振り向くと、総司が後ろから参謀に抱きつかれていた。
腰に両手を回され、顔を真っ青にしている。
斉藤先生はその状況を、冷静に見ていた。
び、びっくりした……。
やっぱり参謀、足音がしないんだもん。
「なんだか楽しそうにしていたじゃありませんか。
同志として、拙者も混ぜておくれ」
伊東先生が手を離すと、総司はささっと斉藤先生の後ろに隠れる。
「大したことではありません。
それより参謀、かねてより参謀と議論したいことがありまして」
「斉藤くん……!
なんだい?なんでも言っておくれよ!」
伊東参謀は嬉しそうに、斉藤先生にまとわりつく。
呆気にとられてその光景を見ていると、斉藤先生がちらりとこちらに目くばせをした。
あ、もしかして……参謀の気を引いてくれてるのかな?
総司とあたしは顔を見合わせると、斉藤先生に会釈して、その場を離れた。