幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「とにかく、隊士と屯所を清潔に保ちなさい。
風呂を設置し、もう少し滋養のある食事をすること」
「風呂、ですか。幕府の許可が必要ですな」
「私が口利きしておきましょう」
松本さんは上様とつながりがあるから、許可はすぐにとれるだろう。
副長はふむふむと、松本さんの言葉を真剣に聞いていた。
「では、すぐにでも。滋養のある食事とは?」
「屯所で豚や鶏を飼うといい。肉は、血や体になります」
「豚……ですか。まるで異人のようですね」
猪はともかく、豚を食べるのは庶民にとって、一般的じゃない。
局長もあまり乗り気ではないらしく、眉をひそめた。
「近藤さん、異人は牛も食べるんですよ。
だから、日本人に比べて体が大きいんだ」
ええっ、あんなに大きな牛を食べるの!?
「牛も……!そう言われてみれば、たしかに」
納得した局長は、大きくうなずいた。
屯所で豚や鶏を飼って、それを絞めて食べるなんて。
西本願寺のお坊さんたち、泣いて嫌がるだろうなあ……。