幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「楓に山崎さん、あんたたち監察に、病人と怪我人の簡単な処置法を教えておく」
局長たちへの指導が終ると、松本さんはあたしたちにそう切り出した。
山崎監察は元々医学に興味があったらしく、興味深そうに話を聞いている。
あたしは話についていくのがやっとだったのに、監察は傷の縫合法まで覚えていた。
そうしているうちに、あっというまに時間は過ぎていった。
「今日はありがとうございました」
局長、副長とともに門まで見送りにいくと、松本さんはおおらかそうな顔で笑う。
「また顔を見に来るよ。では近藤さん、失礼します」
「何から何まで、ありがとうございます」
「風呂と養豚の件は、近日中に何とかいたしましょう」
お礼を言った局長に続き、副長がそう付け足す。
「ああ、よろしく頼みます」
微笑みながらそう返した後……松本さんはすっと顔を引き締め、あたしを見つめた。
「そうそう、楓。
沖田君はあれから体に変わりはないか?」
「えっ?」