幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「まさか……上様が……!」
「嘘だろう?半月前にも楓が血をやりに行ったばかりじゃねえか!」
局長と副長が銀月さんに詰め寄る。
「上様、どうして……?」
心臓がうるさいくらいに暴れる。
この前お会いしたときも、歯が痛いとか胃が痛いとか、色々と不調があったみたいだけど……例のごとく血を差し上げたら、すっきり治ったような顔をしていたのに。
「楓さんのせいではありません。
上様は……何者かに、暗殺されたようです」
「ええっ!」
「なんだと?」
今度は平助くんと斉藤先生が驚いて腰を上げる。
そんな、暗殺だなんて!
「誰がやったか、わからないのか?」
総司が厳しい顔で聞くと、銀月さんは首を横に振る。
「どうやら、毒殺のようです。
もしかすると、誰かが忍び込み、上様の食事に毒を盛ったのかもしれません」
そのときふっと思い出したのは、岡崎一族が幕府から手を切られたという槐の話だった。
まさか、岡崎の忍が上様を……。