幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「すでに志を同じくする15名の者もそろっております。
どうか、この分離をお認めいただきたい」
「止めても無駄なようだな」
副長が厳しい顔で吐き捨てた。
「しかし隊士を連れていくってことは、本来許されることじゃねえ。
一度連れて行った隊士は、二度と新撰組に戻らないこと。
そして、新撰組に残った隊士の受け入れは、断固として拒否していただきたい」
「ええ、良いでしょう。
それ以外も、隊士の行き来は禁止としましょう」
はらはらと成り行きを見守るしかできない、あたし。
そこで総司が、参謀に質問を投げかけた。
「離隊を決めている15名とは?」
「ああ、それは……」
参謀は、懐から離隊する者の名前が書かれていると思われる紙を取りだした。
それをめくりながら、江戸から連れてきた伊東派の名前を次々に読み上げる。
そして、最後に信じられない名前が出てきた。