幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「新撰組隊士105名、幕府召し抱えとなることが決まったんだ……!」
「えっ!」
「そうなんですか!?すごい!!」
今まで新撰組は、『会津藩御預の浪人集団』という立場だった。
それが、正式に幕府に録を与えられる武士になったということだ。
「まさか、百姓から旗本になれる日が来るなんてなあ……!」
「何言ってんだよ、勝っちゃん。
これは俺たちが努力してきた、当然の結果だ。
あんたには旗本なんかでおさまってもらっちゃ困るぜ。
大名になってもらわなきゃな」
副長はあたしがいるのにも構わず、珍しく目じりを下げて笑いながら、局長の背をさする。
どうやら今回の取り立てで、局長は将軍への拝謁も許されるようになったらしい。
難しいことはよくわからないけど、とにかくおめでたい!!
「おめでとうございます局長!副長も、総司も!」
あたしは女だから、武士としては認められないけれど……みんなが夢をかなえられたなら、自分のことのように嬉しい。
「ありがとう、楓くん、ありがとう……みんなのおかげだ、うん。みんなの……」
局長は副長の胸を借りたまま、おうおうと泣き続けている。
その背をさする副長の目にも、真珠のような涙が浮かんでいた。
おお、まさに鬼の目にも涙……!