幕末オオカミ 第二部 京都血風編
『一本!それまで!』
『わあぁぁっ、勝太さんの勝ちだぁ!』
俺は飛び上がり、手を打って喜んだ。
すごい、すごい!
やっぱり勝太さんはこの世で一番強いんだ!
『宗次郎……』
無邪気にはしゃぐ俺を見て、近藤先生は驚いた顔をする。
『うっせえんだよ、このガキ!』
『いたっ、痛い!やめてよ歳三さん!』
負けた土方さんが、俺の頭をげんこつでぐりぐりする。
『はっ、自分の身を守りたきゃあ強くなれよ』
『な……自分だって負けたくせに』
『そんな俺に勝てなきゃ、一番強い勝ちゃんの家来になれねえぞ。
勝ちゃんはいずれこの国のために働く武士になる男だ。
宗次郎は勝ちゃんの右腕になりたくねえか?』
そのとき、俺の幼い頭に、大好きな近藤先生の隣で剣を持つ自分の姿がひらめいた。
なんて素敵なんだろう。
こんなに格好良い勝太さんのそばにいられるなんて。
薬屋よりよっぽど素敵。
そして、意地悪な歳三さんより、絶対強くなりたい!