幕末オオカミ 第二部 京都血風編


「あ、こちらの方が近道です……」


人の少ない道を選び、上様を案内していると……。


近道の狭い道で、突然通せんぼをされた。


前方には、五名の男。


不精髭を生やした者や、浪人髷の者たちが、すらりと刀を抜く。


えええ、何こいつら!


「お供を連れて、良い御身分だな。有り金全部置いていけ」

「な、なんだとう~っ?」


こいつら、見るからに不逞浪士っぽい……けど、いきなり上様相手に追いはぎだなんて、怖いもの知らずすぎる!


「刀をしまえ!
武士が町人を脅すなんて、恥ずかしいとは思わないのか!」


あたしが腰に差していた小太刀に手をかけると、男たちは笑った。


「何を偉そうに。早く金を出せ。世直しのために、それを使ってやろう」


だ・か・ら~!!


この人はお前さんたちが上から目線で話していい人じゃないんだってば!

しかも、世直しって……この人、今の世をおさめてる人だから!


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