幕末オオカミ 第二部 京都血風編
『なるっ、なります!
勝太さんっ、僕にも剣を教えてください!』
噛みつく勢いで言われた近藤先生は、目をぱちくりしたあと……。
じわりと目を潤ませて、俺を抱きしめた。
『いいとも。
宗次郎、お前はとても強い子だ。
えらいぞ、えらいぞ』
『勝太さん……』
『つらいこともあるだろうけど、一緒にがんばろうな』
その言葉は、剣の道だけじゃなく、俺の人生を照らす光となった。
守ってもらうだけじゃなく、ずっとこの人と一緒に頑張るんだ。
そうして俺は、天然理心流の門人となった。
ふと土方さんを見ると、何故か満足そうな顔で笑っていた。
その頃の彼の壮絶なほどの美しさは、今も俺の記憶に残っている。
彼はその頃から、近藤先生と一緒に武士として生きることを夢見ていて……。
はるか遠くを見つめる熱いまなざしは、俺にも同じ夢を与えてくれた。