幕末オオカミ 第二部 京都血風編
数日後から、総司とあたしは二条城へと通うことになった。
『本当は俺が行きたいところだが、上様から新撰組を頼むと言われてはなあ!』
局長は上様がよほど新撰組を頼りにしてくれていると解釈したのか、満面の笑顔で総司が上様の護衛になることを了解してくれたみたい。
「銀月と話し合って交代で上様のそばにつくことに決まった。結局、昼も夜も関係なしだ」
総司はしぶしぶといった表情で、新しい着物に袖を通す。
上様が、城に入るのにふさわしいようにと贈ってくれた着物だ。
「総司が屯所にいない間は、銀月さんがいてくれるんだね」
どうやら銀月さんの幻覚の力はすごいらしく、屯所内では総司の姿になっていてくれるということみたい。
「あれだけ強いもののけなんだ。銀月がずっとそばにいればいいことだと思うけどな」
「上様、もののけが嫌い……っていうか、怖いんじゃない?」
家茂公と色々あったとき、総司があたしを奪還しに二条城へもののけと一緒につめかけた。
あのとき、一橋公……今の上様は、顔面蒼白だったもんね。
「それなら俺だって、同じようなもんだろうよ」
そう言われれば、総司の人狼の姿も、上様は見たことがあったっけ。