幕末オオカミ 第二部 京都血風編

「あいつは表面的には友好的に隊を分離したつもりだろうが、やはり怪しすぎる」


「ですよね……」


「山崎は、薩長の動きを探るのに忙しい。
だから楓、坂本暗殺の件は、お前に任せる」


え……任せるって？坂本暗殺の真犯人をつきとめろってこと？


きょとんとするあたしに、副長は呆れ顔で説明した。


「伊東が暗殺前に坂本と接触した痕跡がないか、探れ。
とにかく、伊東が白か黒か。それだけでいい」


「はっ、はい！」


おっとお、久しぶりに監察らしい任務だ！


要するに、坂本に手を下したのが伊東さんじゃないかと、土方副長は疑っているわけだな。


緊張するあたしに、副長はぼそりと言い加えた。


「御陵衛士のやつらと、必要以上に接触するんじゃねえぞ」


用を済ませると、副長はどんどんと階段を昇り、廊下の奥へ消えていった。