幕末オオカミ 第二部 京都血風編


良かった。これだけ人数がいれば、なんとか平助くんだけは逃がしてあげられるはず。


副長も、山南先生が亡くなったのがやっぱり心残りだったんだろう。


口には決して出さないけれど、「もう仲間を失いたくない」と切望する気持ちが、瞳に現れていた。


他の人は死んでもかまわないとは思えないけど……。


入隊したときからずっと支え合った仲間だもん。


平助くんは絶対に助けなきゃ。





次の日、もともと伊東さんと会う予定だった副長と局長は、緊張した顔で準備をしていた。


「俺たちを陥れるつもりでありながら、活動費を無心してくるとはな」


どうやら、伊東さんは局長に御陵衛士の活動費を援助してくれるように頼んだらしい。


局長は優しいし、武士としてそれを断るのも恥ずかしいことだと思い、了承した。


あたしは二人の身支度や、持ち物の整理を手伝っている。


「副長、今戻りました」

「斉藤か。入れ」


副長が声をかけると、ふすまを開けて入ってきたのは、頭巾で顔を隠した斉藤先生だった。


部屋に入ると頭巾を取り、局長たちに一礼する。


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