幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「斉藤先生!」
「楓、今夜のことが終わるまでは、俺のことが知られては困る」
斉藤先生はしっと唇の前で親指を立てた。
静かにしろってことですよね。すみません。
「出かける前に、報告を聞こう」
局長と副長が座ると、斉藤先生は話を始めた。
「伊東はもともと、尊王の意志を曲げる気はなく、新撰組を崩壊させるために入隊させたのだと思われます」
彼の話によると、伊東さんは新撰組での働きを通して、幕府との繋がりを作るために入隊したらしい。
そうして御陵衛士を拝命して、数人の隊士を連れて友好的分離をすることに成功した。
「伊東は頻繁に薩長と交流しており、討幕派と共に挙兵するつもりでいるようです」
国内で戦争をしている場合じゃないと言っていたのに、実は早く幕府を倒して、薩長とともに新政府なるものを作るつもりでいたらしい。
「その前に、邪魔な新撰組の評判を落とすために坂本暗殺を俺たちのせいにしようとしたのか」
副長が舌打ちと共に吐き捨てる。