幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「近藤先生は、それからますます俺を可愛がってくれた。
心の底では……こんな俺を不憫だと思ってくれたのかもしれないけど」
近藤先生は、俺に言った。
『肌の色や髪の色と同じさ。
宗次郎は人と違うが、それはちっとも悪いことじゃない』
土方さんは最初こそ驚いたようだったが、事情を聞くとすぐに憎まれ口をたたく。
『人狼?どう見ても犬っころだったぞ。
ま、あんまり気にするなよ。
お前がどんな体質だろうが、俺には関係ねえから』
そんな二人に見守られ、俺は必死で剣を究めようと修行をし……今に至る。
「そうか……近藤局長は、本当に総司のお父さんみたいな存在なんだね。
良かったね、総司……」
楓は今にも泣きだしそうな顔で、俺を見上げていた。
「それからは楽しかったな。
原田さんや永倉さん、平助に山南さん、どんどん門人が増えていって……
男ばかりの大家族みたいだった」
「あはは、お父さんが局長でお母さんが副長?」
「そうそう。鬼母が子に飲ますのは乳じゃなくて、血だという……」
「やめてっ、もののけみたいな話は!怖いから!」