幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「聞き間違いじゃなかったんだね……」
こちらを見上げる瞳に、涙が溢れそうになる。
「なるよ、もちろん。あたし、沖田楓になる」
決意するかのように、彼女の高い声がしっかりと言った言葉は、俺の体温まで上昇させた。
辛抱たまらず、楓の背中に腕を回し、唇を奪おうと顔を近づける。
けれど、それはさっと身軽に避けられてしまった。
「他の隊士が見てるから!
そういうのは、戦が終ったあとねっ!」
べちんと額を叩かれた。
「……だな」
ということは、戦さえ終わればそういうことをまたしてもいいんだな?
楓が、これからも自分のそばにいてくれる。
そう思うだけで、俺は無敵になれるような気がした。