幕末オオカミ 第二部 京都血風編
『藤堂殿ですね。あなたが生き延びる方法が、ひとつだけあります』
「え……?」
『それは、もののけと同化することです』
「なんだと?」
突然の提案に、斉藤先生がきっと銀月さんをにらむ。
「人間のまま、助ける方法はないのか」
『ありません。この体は、とっくに限界を超えている』
銀月さんは淡々と残酷なことを述べる。
『藤堂殿、あなたはもののけと同化しても、生きていたいと思いますか?』
「……は……?」
『そこまでして生きたいという思いがあるのなら、私が手助けできるかもしれません』
「もったいつけないで、ちゃんと説明しろ」
焦った斉藤先生の声に、銀月さんは落ち着いた表情でうなずいた。
『藤堂殿の魂を、死んだばかりのもののけの体と同化させるのです』
銀月さんは説明を続ける。
もののけの中でも力の強い者は、体の寿命が尽きそうになったころ、他のもののけの体に自分の魂を同化させ、生き延びることができるのだという。