幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「驚いたけど……みなさん、ありがとうございます」
あたしが頭を下げると、隣の総司も慌てて頭を下げた。
どうやら、総司の方が思いがけない事態に動揺しているみたい。
「じゃあ、近藤さん。仕切りなおしてくれ」
「ああ。では……総司と楓くんの婚礼を祝して!」
近藤先生が盃を上げると、みんなもそれぞれの盃を軽く掲げる。
そのあとは、好き好きにお酒を飲み始めた。
「堅苦しい作法はナシ!お前らも飲め!」
永倉先生がお酒を持って、あたしたちの前にやってくる。
「こいつは飲めないんで、俺がいただきます」
総司はあたしの代わりに、永倉先生のお酌を受けた。
自分だって飲めないくせに……。
それからも、代わる代わるにお酌しに来る幹部たち。
「いやあ、めでたいなあ。俺はお前がこんなに小さいときから知っているから……」
早くもぽろぽろと泣き始めたのは、近藤局長。
「ほんとになあ。あの寝小便ばっかりしていたチビが、でかくなりやがって」
「しかも俺たちより先に嫁さんを見つけるなんてな」
副長と原田先生が、総司をからかうように笑った。