幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「それ、なんのもののけなんだ?」
「んーとね、おいなりさん。つまり白いキツネ」
そっか、狐のもののけと同化したんだ。
うまくいったんだ。帰ってきてくれた。変わらない笑顔を見せてくれた。
「か、可愛いじゃないか……!じゃなくて、会いたかったぞ、平助―!!」
近藤先生は頬を赤く染め、泣きながら平助くんを抱きしめる。
「何でもいいよな!よく帰ってきた!」
「ささ、お前も飲め飲め!山崎、料理を追加だ!」
永倉先生と原田先生にも取り囲まれ、平助くんの姿が見えなくなってしまった。
「ちょ、ちょっと、今日の主役はそっちの二人じゃないの?」
困ったような平助くんの声が聞こえる。
「見ての通り、婚礼の祝いだ。なんという好機に現れるんだ、お前は」
酔っぱらいの輪から抜け出してきた平助くんを、斉藤先生がぎゅっと抱きしめた。
「ちょっ、一まで酔ってるの?珍しくない?」
平助くんはその背中をぽんぽんとたたきながら、こちらに向かって苦笑した。
しょうがないよ。みんな、平助くんがいなくなってすごく落ち込んでたんだから。