幕末オオカミ 第二部 京都血風編


ぎゅっと、絡めた指に力が込められた。


総司の熱が、そこから伝わってくる。


「うん……あたしも、嬉しい」


みんなが、そろって笑ってる。


それがどんなにかけがえのないことか、失って初めて、気がついたよね。


山南先生がいないのは、本当に残念だけど。


一度は道を別けるしかなかった平助くんが、帰ってきてくれた。


ここでこうして笑ってお酒を飲めるのは、きっと奇跡なんだ。




世の中は混乱を極めるばかりで、いつ誰がどうなるかわからない。


そんな日々の中、今日はみんなで笑っている。


じっと見つめていた総司の頬に、一筋の涙がすっと通っていった。


誰にも気づかれることなく、それは盃の中に落ちて、小さな波紋を広げた。


それを見たら胸がぎゅうっと締め付けられて、あたしの目にも涙が溢れる。


「こんな俺でも、誰かを笑わせることができるんだな」


産まれたことさえ歓迎されなかったことを思い出しているのか、総司はしみじみとそう言った。


「当たり前だよ。みんな、総司が好きなんだよ。あたしも、大好きなんだよ。
総司のお嫁さんになれて、すっごく幸せ!」


言い聞かせるように顔を覗き込んで力説すると、総司は頬をぬぐって、笑った。


そして。


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