幕末オオカミ 第二部 京都血風編


新撰組と別れ、屯所に帰ったあたしを、山南先生と平助くんが驚いた顔で迎えた。


「か、楓?総司と喧嘩でもしたの?」


平助くんがとても的外れな質問をしてくる。


が、猛暑の中を走ってきたあたしは息が切れ、面白い反応を返す余裕もなかった。


「禁裏の方向から、煙が上がっているね。
何かあったのかい?」


「はあ、はあ……長州が、御所に、発砲……して」


「はあ!?」


山南先生の質問に答えると、平助くんが素直に驚く。


「みんな、もう御所に向かっているはずです。

こちらに残っている人員で、出動できそうなものは、至急向かえと……」


そう話している間にも、遠くから大砲が火を噴く音が聞こえてくる。


まだ長州軍と幕軍が戦っているんだろう。


「わかった。俺が他の隊士に伝えてくる」


平助くんはそう言って、震える膝でなんとか立っているあたしの肩を叩いて走っていった。






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