幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「はあ、はあ……山南先生は、どうします、か……?」
見上げて聞くと、山南先生は首を横にふった。
「私はここに待機するよ。
嫌な予感がするから……」
「えっ?」
「ただのカンだけどね」
渋い顔で、山南先生は言った。
たしかに、屯所から全員出て行ってしまうと、それはそれで危ないよね。
予備の武器や大砲が奪われたりしたら、大変だもの。
「わかりました。
先生は屯所の守りに徹すると伝えます」
うなずくと、山南先生は苦笑した。
「頼むよ。土方くんは腰抜けだと笑うだろうけれどね」
そんな……。
そんなことないと言い返そうとしたとき、平助くんと数人の隊士がどたどたと門に集まってきた。
「気をつけてな、みんな」
山南先生は優しい目で、みんなを見送った。
そのとき、もう昼を過ぎていた。
あたしたちは御所へ向かい、新撰組と合流することにした。