幕末オオカミ 第二部 京都血風編
屯所を出て御所へ向かう途中、ちょうど新撰組本体と出くわした。
「平助!楓!」
「総司!今どういう状況なの?」
走りながら聞くと、総司は汗ではりつく前髪を避けながら答えた。
「蛤御門での戦いはもうほとんど勝敗が決しているみたいだが、堺町御門の方にまだ敵がいるらしい。
今はそっちに向かっているんだ」
総司が話している途中、前方から声が上がった。
「鷹司邸に長州軍が立てこもっているらしいぞ!
各隊長と伍長、前へ出ろ!」
それは、永倉先生の声だった。
鷹司邸というのは、禁裏から少し南にある公家の屋敷だ。
「全員は中に入れないってことか」
「だな。行くぞ、平助。
後の者は、周辺を取り囲め!」
速度を速める総司と平助くんについていく。
すぐに鷹司邸についた新撰組幹部たちは、同じように駆けつけた幕軍と鉢合わせた。
「新撰組か……!ちょうどいい、おぬしらで邸内の長州兵を追い出してくれぬか。
そこを挟み撃ちにしよう」