幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「おいお前ら、残党狩りのついでに、市中の人間を避難させろ。
壬生まで行けばまず安心だろう」
ここから屯所のある壬生までには、堀川がある。
火も、なかなかそこまでは燃え広がらないだろう。
副長はそう言うと、馬にまたがり、隊士たちの先頭に立った。
長州藩邸の方へ近づくにつれ、そこにつけられた炎がどんどん大きくなっていく。
「もう燃え広がってる……!」
「くそっ、俺たちの池田屋での働きをなんだと思ってんだよ!」
強風にあおられ、京の街に火が燃え広がっていく。
新撰組みんなの悔しい気持ちを、平助くんが代表して叫んだ。
池田屋で京の大火を阻止したはずなのに、
まさか幕府が放った火で、街が焼けてしまうなんて……。
新撰組は、夜を徹して残党を追った。
その中でも火は容赦なく燃え広がっていき、消えないまま次の朝を迎えた。
炎の中での戦と逃げ惑う人々で、京の街は混乱を極めていた。