幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「そういえば総司、お前、体調はどうなんだ?
池田屋以来、咳は止まったみたいだが」
副長の質問に、あたしたちはどきりとする。
あたしの血が万病に効く薬になるってことは、まだ総司しか知らない。
「えっと……大丈夫です。
すぐにでも出動できます」
「それは助かる。
しかしなぜ、急に体調が回復したんだ?
あれだけ大騒ぎしといて」
「さ、さあ……俺にも、さっぱり……」
「ほう……」
副長の鋭い目線が、冷汗だくだくのあたしたちに降り注ぐ。
下手に話して、病人が出るたびに血を求められたらたまったもんじゃない。
だけどこの副長相手に、いったいいつまで隠し通せるのか……。
「まあ、いいか。今は戦のことが先だ。
落ち着いたら、話してもらう」
副長は意外にあっさり話を切り上げた。
そして、彼の読み通り……。
その日の夜、帰ってきた局長から、出動命令が出たのである。
長州軍を迎え撃つため、新撰組は九条河原に陣を張ることになった。
……のだけど。