幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「……まさか!」
総司は門へ回り、挨拶もせずにずかずかと獄舎の中に入っていく。
唸り声だか悲鳴だかは、獄舎中に反響し、ぐわんぐわんと、空間を揺らす。
「……!」
「なんてことを……!」
やがてあたしたちが見たのは……牢の中の罪人を、幕府の役人が槍で容赦なく突いている光景だった。
罪人たちは、槍に突かれて次々に死んでいく。
床一面、血の海が広がっていた。
「お奉行、これは一体何事か!?」
苦痛にもがく罪人たちの悲鳴の中、凛とした声が響く。
声のした後ろを見ると、山南先生が浅葱の隊服を着て立っていた。
「……壬生狼たちが、何の用だ」
お奉行と呼ばれた役人は、疲れ果てた顔でこちらをにらんだ。
「何か力になれればと、俺たちはやってきました。
今からでも遅くない。息のある者たちは避難させましょう」
沖田が言うけど、奉行は「若造が」と吐き捨てた。