幕末オオカミ 第二部 京都血風編
・前途多難
戦が終わった後も、新撰組はしばらく残党狩りに従事していた。
焼けて骨組みだけになった家や、親を失った小さな子供を見かけると、
とてもやりきれない気持ちになる。
あたしは監察として、焼け残った家に残党が隠れていないかを調べていたが、
残党よりも、焦げた遺体や孤児を見つけることが多かった。
「はあ……はやく復興できるといいんだけど」
川で行水をしながらつぶやくと、見張り役の総司がうなずいた。
「だな。山南さんの手も……早く良くなるといいけれど」
もちろん後ろを向いているけれど、その声から暗い表情がうかがえるみたい。
山南先生はあの一件以来、部屋に閉じこもりがちになってしまって、
幹部のみんなが心配している。
「あっ」
総司が突然声を上げた。
「なに?」
「斉藤の式鬼(しき)だ」
総司が言うと、屯所の方から飛んできた白い鳥が、彼の手のひらに止まる。
その途端、鳥は発光し、紙へと変化してしまった。