幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「わあ、すごい!ねえ、何が書いてあるの?」
「近藤先生からの呼び出しだ……って、おい!!」
斉藤先生の術の質に感動し、川から飛び出てのぞきこんだあたしは、思い切り怒鳴りつけられた。
「は、裸でうろうろすんじゃねえよ!
誰かに見られたらどうするんだ!」
「あっ、きゃっ、ごめ……っ」
あたしが体を隠すより早く、総司は後ろを向いてしまった。
いけないいけない……山育ちはこれだから。
急いで着物を着て声をかけると、総司はほのかに赤い顔でこちらを振り向いた。
「お前なあ……やめてくれよ。
今から近藤先生のところに行かなきゃいけねえんだから、誘惑するなよ」
「そんなつもりじゃ……」
恥ずかしくなってうつむくと、ふわりと抱きしめられる。
「お前がそんなつもりじゃなくても、周りは誘惑されちまうんだよ」
「……うう」
「もう少し気をつけてくれよ。
このキレイな体は、俺だけのものなんだから」
低い声が耳元で聞こえ、自然と体が跳ねる。