幕末オオカミ 第二部 京都血風編
局長室には、土方副長もいた。
二人とも、戦の後処理の疲れを見せず、びしっとしていた。
さすがだなぁ。
「おお、総司。急にすまんな。
やっと時間ができたものだから」
「はい。六角獄で見た二人のことでしょうか?」
「うむ」
総司は、あの日見た二人のことを淡々と説明した。
結局、一番隊の隊士は彼らを捕まえられなかったから、総司に何かお咎めがあるのかな。
はらはらしていたけど、その心配はなさそうだった。
「一応不審人物として、幹部には今度話しておこう」
土方副長はそう言っただけだった。
「で……総司」
「はい」
「お前、戦の前に話があるって言ってなかったか?
あれは何だったんだ?」
「あっ」
総司はまさか近藤先生が覚えていると思わなかったのか、少し驚いたみたいだった。
さすが優しい局長……忙しくても、ちゃんと隊士の話を覚えててくれたんだ。
「はい、あの……」
総司は咳払いして、ぐっと背を伸ばす。