幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「近藤先生、土方さん……俺、こいつと夫婦(めおと)になりたいと思います」
「へっ」
急すぎたからか、近藤局長はマヌケな声を出し、目を丸くした。
土方副長はお茶を吹き出しそうになり、なんとかこらえる。
あたしはあたしで、まるで総司の両親と向かい合っているような気分になり、やけに緊張していた。
「夫婦って……」
「ですから、楓と、正式な夫婦になりたいと」
「正式なってお前なあ。
小娘の事情はお前が一番よくわかってんだろうが」
副長が困ったように頭をかく。
そりゃあそうだよね……。
武士の結婚って、なんか色々規則があったような気がするもん。
浪人でも、武士の身分を持った家の娘じゃないと婚姻は認められないとかなんとか?
血の効力だけを買われて奥入りしたあたしは、特別だったんだ。
「だから、先生たちのお力をお借りしたいんです。
こいつの名前や身分を変えるために」
「どこぞの行方不明の子女の代わりにして、養子縁組でもするってことか」