幕末オオカミ 第二部 京都血風編
二人でとぼとぼと部屋に戻ると、総司は畳に静かに座り、深いため息をついた。
副長の言う通り、戦から帰ってきたときから、あたしと総司は二人で一室を使うことを許されている。
ちなみに斉藤先生は山南先生と同室。
今の山南先生と一緒にいるには一番冷静でいいだろうということみたい。
「あの……ごめんね、あたしのせいで」
すっかり暗くなった部屋で座ったままの総司。
ろうそくを灯した後でその近くに座りながら、あたしは謝るしかできなかった。
「……なんでお前が謝るんだよ」
「だって、あたしの素性のせいで……」
「いや、どうにかなると思っていた俺が甘かったんだ。
お前は悪くない」
ほのかな明かりに照らされた端正な顔が、首を横に振る。
「俺の方こそ……ごめんな。
お前に何もしてやれないで」
悔しそうにうなる低い声が、胸をしめつける。
「祝言を挙げてやることすらできねえなんてな……」