幕末オオカミ 第二部 京都血風編
さすが斉藤先生。
伊東先生のうっとり攻撃を受けても、さらりと受け流した。
「ぷっ、ぷぷぷ……」
「こら楓くん、笑ったら失礼だよ」
「だって、山南先生……副長と総司のあの顔!
あんな怯えた顔、なかなか見られませんよ」
どうにもこらえきれなくなってふきだすと、ちょうど隊士の群れの後方に歩いてきた山南先生に叱られちゃった。
さて、一度部屋に戻って……落ち着いたら任務開始かな。
久しぶりに局長にご挨拶もしたいけれど……今目立つのはよくないもんね。
そう思って部屋に帰ろうとしたときだった。
「なんだい!?今の可愛らしい笑い声は!」
離れに向かっていたはずの伊東先生が、くるりとこちらを振り向いた。
──ばちっ。
……あ、やばい。目があっちゃった……。
さっと目をそらして、踵を返した、そのとき。
「おおおっ、待っておくれそこのキミ!」
やけに速い足音がしたかと思うと、突然背後から抱きしめられた。