幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「おもしれーやつが入ってきたなあ、新八よ」
「おう、左之。お前も美丈夫だから背後に気をつけろよ?」
原田先生と永倉先生が笑いながら、道場の方へと歩いていく。
もう、バカなこと言って……。
隊士たちも、それぞれの持ち場にぱらぱらと散っていった。
「おい」
「総司。今からは巡察?」
総司が体をさすりながら近づいてきた。
「おう……俺がいない間、気をつけろよ。
あいつ、ただ者じゃねえ」
「大丈夫だよ……あたし、女だし」
「それでも男装の間は気をつけろ!簡単に触らせるんじゃねえ!」
そういえば、いくら油断していたと言っても、簡単に抱きつかれて捕獲されちゃったもんね。
ああ見えても剣は強いって言うし、あたしが副長の間者だってばれたら大変だ。
気をつけなくちゃ。
こくりとうなずくと、総司はきょろきょろとあたりを見回し、誰も見ていないのを確認すると、あたしをぎゅっと抱きしめた。
「お前は俺のもんなんだから」
耳元で囁かれ、また頬が熱くなった。
こうして……伊東一派は嵐のように新撰組に入隊してきたのであった。