幕末オオカミ 第二部 京都血風編
・花街潜入
伊東一派入隊後、新撰組は組織を再編成することになった。
もちろん、局長は近藤局長のまま。
「参謀・伊東甲子太郎、総長・山南敬介、副長・土方歳三……」
「副長助勤の面々はそんなに変わらねえな。
伊東派が少し入ったくらいか」
総司は一番隊隊長、あたしは名簿には載らないけど監察方のまま。
「わー、にぎやかだなあ」
貼りだされた組織図の前でわちゃわちゃする隊士たちの後ろから、のんびりした声が聞こえた。
そちらを振り向くと、立っていたのは……。
「平助くん!」
「ただいまー、楓!俺がいなくて寂しかった?」
少し髪が伸びて、額の傷が隠れるくらいになった平助くんだった。
相変わらず人懐こい笑顔で、あたしに抱きついてくる。
寂しかったといえば寂しかったけど、抱きつくなっ!
「平助っ!」
あたしが抵抗する前に、総司がべりっと平助くんをあたしから引きはがした。