幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「ちぇっ、なんだよ。相変わらず仲良しなのか」
平助くんはにやりと、総司に笑って見せた。
「お前、いつ帰ってきたんだよ」
そう、平助くんは江戸に隊士募集に行っていたはず。
「今さっきね。伊東先生、参謀なんだね」
「お前……なんつう人物を引き入れてくれたんだよ……」
平助くんは総司から伊東先生のうっとり攻撃の話を聞くと、大爆笑した。
「あはははは!あれね、俺も最初はびっくりしたよ」
隊士たちがちらほらと平助くんに気づく。
ますます騒がしくなりそうだったので、あたしたちは総司の部屋に移動した。
「大丈夫だよ、あの人は男も女もイケるってだけで、頭はいいよ。腕も立つし」
「男も女も!?」
総司が声を荒げる。
てっきり、男の人だけが好きなのかと思っていたけど、どうやら違うみたい。
「うん。だって、江戸に奥さん置いてきたんだもん」
「奥方が!?」
そうだったんだ……。
あたしと総司は驚いて、何も言えなくなった。