幕末オオカミ 第二部 京都血風編
伊東派はまだ加入したばかりからか、彼らは離れの片づけや、日々の任務に慣れるのに忙しそう。
不審な動きは、今のところない。
「そっか……伊東さんみたいな知性派って隊内にあまりいなかったからさ。
これで山南さんの会話の幅が広がって、毎日楽しくなるといいけど」
何の疑いもなく笑って言う平助くんに、あたしたちは曖昧にうなずくしかできなかった。
土方副長と総司は、伊東派が新撰組を乗っ取りに来たんじゃないかと疑っている。
そうじゃなければいい。
このまま、うまくいってくれれば……。
「とーうどーうくんっ」
突然障子の向こうから声がして、全員の身体が跳ね上がる。
この声は伊東参謀?
今、足音しなかったよね?怖っ!!
「はいっ、なんでしょう?」
平助くんが立ち上がって障子を開けると、伊東先生が部屋中を見渡し、頬を紅色に染めた。