幕末オオカミ 第二部 京都血風編
元治2年1月(現暦2月)。
すっかり寒くなった京の街では、ときどき雪がちらついていた。
相変わらず、他の任務がないときはなるべく伊東参謀の周りを調べてみたけど、特に異変はなかった。
「あれからもう一年か。早いな」
「そうだね……」
陽炎が死に、新撰組に残るのだと決めた日から、もう1年が経った。
寒い夜は総司と一緒の布団に入って、手足を温めてもらう。
大きな手に包まれたあたしの手は、すぐにほかほかと温まった。
「池田屋以降、狼化してないね」
「ああ……夜でも、月さえ見なけりゃ変身しなくて済むみたいだな」
「ちょっとしてみてよ。もふもふのしっぽがあれば、もっと温かいかも」
冗談を言うと、総司はぷっと吹き出す。
「かもな。けど、そうすると理性飛んじまうから。
明日の隊務に支障が出るぜ」
低い声で囁くと、あたしの胸元に手を寄せる。
その途端速くなる、胸の鼓動。