幕末オオカミ 第二部 京都血風編


元治2年1月(現暦2月)。


すっかり寒くなった京の街では、ときどき雪がちらついていた。


相変わらず、他の任務がないときはなるべく伊東参謀の周りを調べてみたけど、特に異変はなかった。


「あれからもう一年か。早いな」

「そうだね……」


陽炎が死に、新撰組に残るのだと決めた日から、もう1年が経った。


寒い夜は総司と一緒の布団に入って、手足を温めてもらう。


大きな手に包まれたあたしの手は、すぐにほかほかと温まった。


「池田屋以降、狼化してないね」


「ああ……夜でも、月さえ見なけりゃ変身しなくて済むみたいだな」


「ちょっとしてみてよ。もふもふのしっぽがあれば、もっと温かいかも」


冗談を言うと、総司はぷっと吹き出す。


「かもな。けど、そうすると理性飛んじまうから。

明日の隊務に支障が出るぜ」


低い声で囁くと、あたしの胸元に手を寄せる。


その途端速くなる、胸の鼓動。


< 93 / 404 >

この作品をシェア

pagetop