幕末オオカミ 第二部 京都血風編


「すぐに探して届けさせよう。お前はそばにいてやってくれ」


「はい……」


「そうか……山南さん、病んじまってるか」


副長は柱に背中をもたれさせると、深いため息をついた。


心底山南先生が心配だという顔をしている。


こんな副長、珍しい……。


その端正な、役者のような顔を見つめていると……。


「山南さんが病んでいるだって?」

「ぎゃあ!」

「うわあ!」


突然背後から、伊東先生が現れた。


「い、いえ、その……」

「参謀、このことは他言無用にて……」


おたおたするあたしたちをよそに、伊東先生は眉間にシワを寄せ、真剣な顔をした。


「山南さん……怪我が元で引きこもってしまったと藤堂君に聞いていましたが……」


いや、ここまでひどくなってしまったのは、あなたが来てからなんですけど……。

とは、本人の前では言えない。


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