きみにこい




呆然としたあたしはしばらくそこで固まってた。祐真はそれでもテレビを見てて。


ムカつくから背中でも蹴ってやりたいと思ったけどそれは可哀想だからやめるけど。



ふと彼女ってどんな人なんだろうかと思って、聞いてみたら「顔そんなに可愛いくねぇけどめちゃくちゃ可愛いやつ」なんて笑って言うから一瞬泣きそうになって、



「ーー…あ」


それを堪えて「あたしのが可愛いでしょ?」なんて冗談で締めようとしたけど、言葉が出て来なかった。



「…何?なんか言ったか?」



キョトンとした顔で俯いたあたしの顔を覗き込む祐真に別にキュンキュンなんてしなかった。





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