きみにこい




散々祐真の背中を湿らせたあたしを祐真は怒りもしなかったし、かと言って何かを聞いてくる訳でもなくて。



ただ悴んだあたしの手をほんの一瞬だけ握って「…冷てぇから中入れ」って言っただけだった。



祐真は鬱陶しくて早く離れて欲しいからそうしただけなのに、あたしは更に好きになってしまうだけだった。


傍に居られたらそれだけで良い気がしてきて。


受け入れてとは言わないから拒絶はしないで欲しい。そう思ってしまったあたし。この時点でもう既に負けを認めてる。





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