きみにこい
「ぎゃっ、」
何の可愛げもない声を上げると、人にぶつかったらしくて。
謝ろうと顔を上げるとそこには何故だか祐真が居て。
「ちょうど良い所に居たお前。お袋からお前にちょっと伝言頼まれてんだけど」
今のあたしには祐真の話なんか耳に入ってこなくて、「祐真はもっと嫌いだぁあ」って言いながら走って一人になれる所へ向かった。
「は?柚子、お前待てっつーの‼︎」
祐真の声が追い掛けてくる。
それをあたしは全力で走って無視した。
朝比奈の「お前に彼氏なんか出来るか」って言葉があたしは本当に相当ショックで。
お前なんか誰にも愛されないって言われたみたいで悲しくて。今のあたしにはその言葉をポジティブに変換することが出来ない。