聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~約束の詩~

深碧の湖のほとりに、黄金の落ち葉が降る。

風とたわむれるように、揺りかごのように、ゆっくりと降る。

地面はまさしく黄金の海。

また一枚の落ち葉が、そっと地面にふれて海と同化していく。はぐれた一枚の落ち葉が、湖の上に清らかなさざなみをたてる。

午後の日差しを照り返して黄金に霞む景色の中を、人影が歩んでくる。

銀の軽鎧、漆黒のマント、抜き身の銀の剣――。

そのすらりと凛々しい立ち姿に、リュティアの胸はどうしようもなく騒いだ。

リュティアは聖具の完成が間に合わなかったことを知ったが、それ以上に自分がどんなにこの人に会いたかったかを、どれだけこの人を深く想ってきたかを思い知った。

言葉をかわすことも、顔を合わすことすらなかったこの二か月の間に、想いは想像を絶する速さでふくらんでいたのだ。それでなくて、どうしてこんな気持ちになる。

どうしてこんなに苦しい…。

ライトはリュティアから少し距離を置いた場所で、立ち止まった。

ライトの長い前髪が風にそよぐのを、リュティアは胸を締め付けられるような切ない気持ちで見上げた。
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