聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~約束の詩~
プリラヴィツェ王都ラヴィア。

それはヴァルラムに伍する大国の王都だけあって、はじめて見るものを圧倒せずにはおかない大規模なガラスの街である。

昼は陽射しを受けてすべてが七色に輝き美しく、夜はランプの明かりでところどころ幻想的に浮かび上がり、まるで銀河の海にいるような錯覚をおぼえるほどに美しい。

四角い街には十階建て以上のガラスの建物が碁盤の目状にずらりと並び、最奥にある王宮に遠い一区から王宮のそびえる六区まで、六つに区画されている。

人々は一区から貧しい順に住み分けられ、王宮のある六区にはたくさんの貴族たちの豪邸が建ち並んでいる。
区に係わらず至る所にガラス工房が見受けられ、ここから世界中にガラス工芸品が運ばれていくのだということがわかる。

リュティアとカイの祖国フローテュリアにあったガラスも、すべてここプリラヴィツェ産だった。

それにしてもこの街のガラスの流通はとどまるところを知らず、リュティア達を驚かせた。貧しい人々が持つ洗濯板までガラスでできているのだから。ここでは木よりもガラスの方が安い素材なのだ。
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