忠犬ハツ恋
それは私が高校生だからだ。

私達は人前で堂々とイチャつくことが出来ない。東野で会っても要件を済ませればサッサと帰る。あくまで先生と生徒っぽく演じる必要があった。
でもそれでもいいから会えるんなら毎日会いたい。

普通のカップルなら手を繋いでデートが出来るのに私達にはそれが許されない。
私と大ちゃんが手を繋いで歩けばきっと援交で捕まってしまう。

大ちゃんがただのサラリーマンならまだしも、塾と言えど大ちゃんは教職であり聖職者。
そんな立場にいながら援交で捕まることはあってはならない事で…。

だからこそ私達は婚約したんだと思っていた。
でも婚約しても状況は何一つ変わらない。

ハタから見れば私達が婚約している事など分かりようがないのだから仕方ないんだけど…。

私と大ちゃんのデートはもっぱら週末私の家でご飯を食べてDVDを見て過ごすくらいだった。

大ちゃんは私にいつも"はやく大人になれ"そしてどんな時も"高校を卒業するまで待て"と言った。
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