忠犬ハツ恋
結局ほとんど眠れなかった。
そんな状態で体調が回復するはずもなく。

大ちゃんが階段を上がって来る音に寝たふりをする。

「おはよう美咲。調子どうだ?」

大ちゃんは私の部屋に入って来て私のおでこに触れた。私はゆっくり目を開けて大ちゃんを見る。

「まだ熱いな…。
学校には休みの連絡入れとくから。下にお粥用意してる。動けそうだったら食べて薬を飲んどけよ。」

「うん…。」

「仕事行って来る。
辛かったら依子おばさんに連絡しろ。弱ってる時くらい甘えてもいいだろ。
後、ダウンジャケットはクリーニングに出しておくから。あれは洗濯機じゃ洗えない。」

「うん…。ありがとう…。行ってらっしゃい。」

部屋を出て行こうとする大ちゃんを呼び止めた。
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