忠犬ハツ恋
慌てて檜山君を中に入れ鍵を閉めた。
こんなとこ誰かに見つかったら大変だ!

「檜山君学校は?!!」

「行ったよ、1限目だけ。
心配するな、次の試験も余裕で学年トップ取ってやるから。」

そのセリフが冗談じゃない事を知っているから羨ましかった。

「玄関で立ち話もナンだから俺を上げろよ。」

「そのセリフを自分で言わないで!
上げないよ。何しに来たの?帰ってよ。」

「何って看病に決まってんだろ?ほら。」

檜山君は右手にビニール袋を持っていた。

「何?」

「美味い卵酒作ってやる。」

卵酒かぁ……、子供の頃にお母さんに作ってもらったっきりだ。
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