忠犬ハツ恋
結局卵酒に釣られて檜山君を家に上げてしまった。

「あれ?粥があるじゃん。コレ白石が作った?」

「ううん……さっきまで…えっと…親が。」

「あっそ?
座ってろよ。出来たら運んでやるから。
言っとくけど俺の卵酒は美味いぞ。覚悟しとけ。」

そう言われて私は大人しくソファーへと向かった。

「昨日聞かなかったけど…何があった?」

 「な、…何もないよ。」

「ウソつけ。この不良娘。」

檜山君はあっという間に卵酒を作って私のところへ持ってきた。
それはお母さんから作ってもらったのとはちょっと違う、ふんわりとしたカプチーノみたいな卵酒。
一口口に入れると柔らかな甘みが口の中に広がった。

「何これ、すごく飲みやすい。美味しい!」

「だろ?」

檜山君はソファーに座る私の足元であぐらをかいて座り、さも当然と言った表情で腕を組んで頷いた。
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