忠犬ハツ恋
「お前、薬飲んだ?」

「飲みたい……とは思ってる。」

「何だ?それ。」

檜山君の手にしている風邪薬は封が切られていない。私は家に常備している風邪薬をまだ飲んだ事が無かった。

「だって錠剤って苦手なんだもん。何か喉の奥でゴロゴロするでしょ?」

「だったら粉薬にすりゃいいじゃん。」

「粉薬は…もっと苦手……。」

「じゃあお前は何なら飲めんの?」

「……シロップ?
ドリンクタイプのやつなら鼻つまんで何とか…。」

「お前はガキか?」

檜山君は呆れて笑った。

「いいの!薬なんて飲まなくてももう元気だし。私は自分の自然治癒力を信じてるの!」

檜山君は突然私の額に触れた。

「何が元気だ。まだ熱あるじゃん。
自然治癒力を信じるのも立派だが、たまには医学の進歩にも頼ったら?」
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