忠犬ハツ恋
檜山君は私をソファーに押し倒し肩と顎を掴み私の口に襲いかかる。

次の瞬間に口の中に生温かい水と2つの小さな固形物が流れ込んできた。

私は窒息しそうな苦しみに涙目になり必死に檜山君の胸を叩いてもがく。

ようやく解放された時、私は薬を無事に飲み込んだ後だった。

「ほ〜ら、飲めんじゃん。」

「な、何するのっ!!」

檜山君とキスをしてしまった…。

無理矢理とはいえそれは確かな目の前の現実。
私の目からはショックで涙が溢れ出す。

「何って投薬だろ?」

「……投薬?」

「こんなんで罪悪感感じる事ねぇよ。これは投薬。医療行為だ。」

「信じられない!帰って!!」

「はいはい。
鍋に少し卵酒がまだ残ってるから、あれ飲んで体が火照ってる間に寝てろ。起きる頃には治ってる。」

「いいから!帰って!!」

私がクッションを投げると檜山君はそれを上手く避け「んじゃ明日」と言って帰って行った。
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