忠犬ハツ恋
「テキトーな事言わないで。
私は咳は出てない、それは私の風邪じゃない。」

「じゃあ何でお前はマスクしてんだ?って。」

「だからそれは!」

檜山君は起き上がると私の腕を掴んだ。
弾みで持っていた檜山君と私の分の鞄が滑り落ちる。

「認めろよ。お前、俺を意識してんだろ?」

「ふざけないで!手、離して!」

腕を振っても檜山君は私の腕を離さない。

「今朝、望月から電話が掛かって来たぞ。」

「よ、良かったじゃない。
モーニングコールかけてくれる相手、欲しかったんでしょ?」

「あいつの番号は着信拒否に設定した。もう繋がらない。」

「どうして?!!」

「俺、結構頭にきてんだけど。
人の携帯番号をカンタンにバラされても困る。」

「それは!!
………………ゴメン…。」
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