忠犬ハツ恋
大ちゃんが去ると私は檜山君に電話した。

「こんな時間にモーニングコールか?
有難い事だな。」

「檜山君!東野、行こう!中央の意地、見せてやろうよ!」

「はぁ?何だよ、いきなり。」

「だって……、大ちゃんが中央から来る子は頑張ってもBクラスで招待生枠には入れないって言うんだもん!」

「ほぅ〜ぉ、お前は大ちゃんを見返すために俺に招待生になれって言うわけね?」

だって私も勉強が出来ない方ではないけれど、私なら大ちゃんの言う通り頑張ってもBクラス。
それなら檜山君に頑張ってもらったほうが手っ取り早い。

「お前さ、それなんて言うか知ってるか?
『他人のふんどしで相撲を取る』
俺はそんなのに付き合うのはゴメンだ。」

「檜山君は自分の学校をバカにされて悔しくないの?」

「悔しかったら見返す場所は東野じゃなくたっていくらでもある。
ま、白石がモーニングコール再開してくれるってんなら考えてやってもいいが?」

「うっ………。」

檜山君の言う事は至極最もだった。

「どうする?モーニングコール。」

「………遠慮しときます…。」

「相変わらず素直じゃねぇなぁ〜。」

そう言って檜山君は笑った。
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